Carest座間 試乗レポート

◎カレスト座間について

@フェアレディZ

Aグロリア300アルティマZ CVT

BシルビアspecS

Cスカイライン25T

Dルノー ルーテシアRXE

 

◎Carest座間試乗レポート

 カレスト座間は、その名の通り、日産座間工場跡地につくられた、日産のカーアミューズメント施設である。施設内には、大型カー用品店、中古車センター、新車展示場等があるが、やはり車好きが一番注目するのは、試乗コースだろう。そこで、今回はこの試乗コースを中心に、ライバル関係にあるトヨタMEGA WEBと比較しながら説明してみたい。

○交通手段
・電車
お台場という一大アミューズメントスポットに立地するMEGAWEBに比べ、工場跡の有効利用として作られた座間へのアクセスは、少々面倒だ。今回は電車で行ってみたが、小田急線南林間から、バスで5分。まあ、お台場のユリカモメもかったるいが、座間の方は電車での来訪をあまり前提にしてるとはいいがたい。これは、MEGAWEBが総合アミューズメントセンターを目指しているのに対し、カレストはカー用品店や中古車センター等、従来からある車関係施設からの収入をベースに設立されているからだろう。
・車
車でのアクセス方法は、東名、もしくは保土谷バイパスの町田ICから5分くらい。駐車場も広いので、まあMEGAWEBと互角といったところか。ただ、残念ながらカレスト座間の前の通りは渋滞しやすいのが難点。

○試乗施設について
・カーラインナップ
 MEGAWEBが全トヨタ車を試乗できるのに対し、カレスト座間では、まだ一部の車しか乗れない。なによりカレスト座間が大きく劣る点は、日産の唯一最大のカリスマである、スカイラインGT-Rが試乗できないこと!これは痛すぎる。はっきりいって、実際に購入したい車を試乗するのなら、近くのディーラーで済むことだ。わざわざ座間まで来ることはない。車好きが、あこがれの車のハンドルを握ってみたいから、ここまでくるわけだ。このことは、MEGAWEBの試乗人気ランキングで、MR-Sやアルテッツァ、スープラ等のスポーツカーが上位を占めていることからも明白である。ましてや、日産といえば”走り”のスポーティさがブランドイメージの中核のメーカー。この点は、ぜひ早期に改善し、明日にでもGT-Rを導入すべきだ!と強くゴーンさんにも言いたい(笑)。

・試乗コース
 コースは800mと、MEGAWEBより短い。しかも、コーナーは3箇所だけで、あとは直線と、いたってシンプルな作り。せっかく広大な工場跡地を利用しているのだから、もう少し広くして欲しかった。この点もMEGAWEBに軍配があがるだろう。ただし、カレスト座間の方は、オフローダー用の悪路が設定されている点はプラス。これは面白いし、実際RVの購入を検討している人は、ちょっと試してみたくなるだろう。

・申し込み・予約方法
 MEGAWEBがインターネット等で事前予約を実施しているのに対し、カレスト座間は当日現地予約のみ。ただし、MEGAWEBのインターネット予約は、よく落ちるので、一長一短。また、カレスト座間はPHSを貸してくれるので、待っている間に他の施設を見て回れるというのが親切。
 あと、MEGAWEBが1時間おきでないと試乗予約ができないのに対し、カレスト座間では連続試乗できるが、一日一人3台までしか乗れない。これまた、難しいところだ。まあ、結論としては、カレスト座間は空いているので、こちらの方がサクサク試乗できるので、いいかな。MEGAWEBは人気が高いので、1ヶ月くらい週末は予約がいっぱいだし。

・その他全般
 全体的に、MEGAWEBの方がきっちりしているし、金もかかっている。試乗する前に注意点の説明が必ずあったり、コースも凝った作りだし、安全のためトランシーバーもついている。一方カレスト座間は、プレハブの申込書と、青空コースがあるだけ。駐車場に車がありますので、気軽にその辺走ってみてくださいな、ってかんじである。一番驚いたのは、免許証の確認もしなかったコト。ただし、こういった点については、そんなにカレスト座間が悪いという気はしない。カレスト座間の方が気軽に試乗できるからだ。しかも、MEGAWEBは300円だが、カレスト座間は無料である。つまり、ここでもMEGAWEBは試乗体験をアミューズメントのひとつとして位置付けているのに対し、カレスト座間は、あくまで新車販売促進の一環として捉えている感がある。まあ、この点はそれぞれの思惑があるとおもうので、どちらもアリだと思う。しかし、ヒトコト付け加えるならば、カレスト座間は、試乗車のダッシュボードくらい、きれいにして欲しい。試乗したフェアレディZのステアリングコラムが埃だらけだったのには、さすがに興ざめだった。いくら無料とはいえ、最低限のことはすべきで、この点は日産の姿勢を疑う。

 

◎各種試乗車
 基本的に試乗コースが短いため、ほんのさわり程度の試乗レポートだが、そのクルマについての情報の一部として、参考程度にしていただければ幸いである。

 

@フェアレディZ300ZX(NA)試乗

○概要
 スカイラインと並ぶ、日産の2大看板車種のひとつ。歴史も、ブランドイメージもピカイチの一台。本モデルは、デビューしてから約10年がたつ長寿モデル。スポーツカーというより、ハイウェイ等を快適に移動するGT的要素が強い。

○居住性
 ツアラーとしては、雰囲気・機能共に十分ではないだろうか。さすがにリアシートは荷物置き場だが、前席2人は、なかなか快適な高速クルーズができるだろう。インパネも、さすがに少々古さを隠せないが、デザインとしては悪くない。乗り心地も硬すぎず、柔らかすぎず。

○動力性能
 エンジンはトルクフルで、重いボディをグイグイ引っ張っていく。しかし、吹けあがりはイマイチがさつで、スポーツカーとしてのエンジンの吹けを期待すると、がっかりするかも。試乗車はATだったが、このクルマは大排気量をいかして、トルクでクルマを前に進め、さっさとシフトアップするほうがいいかもしれない。
 興味深いのはハンドリングと足回りで、乗った瞬間、”あ、トヨタ車と違う”というのが何故か分かる。表現しづらいが、トヨタ車の足回りは、まず安定性が前提にあって、その上でスポーティさを演出している感があるが、日産の場合、最初からスポーティを前提にしているかんじがする。トヨタのアシが、”できれば、このままマッスグ走ってたいなぁ”という感じなのに対し、日産車は、”走りたくてウズウズしている”かんじ。この差は、まさにメーカーとしての姿勢の差で、クルマ会社のDNAみたいなものだろう。そして、その遺伝子は間違いなくこのクルマにも流れているようで、10年前のGTとはいえ、それなりにワインディング等をこなすポテンシャルはありそう。耐久性は別にして、このクルマが現在中古でかなり安く購入できるのは、かなり狙い目と言えるかもしれない。

○結論
 まず、このスタイリングに惹かれる人は、購入しても損のないクルマだろう。10年たった今でも、この独特なスタイルとZブランドは、所有者に充分な満足を与えてくれると思う。ただし、今更新車で購入するのは、ちょっと物好きだ。クルマの性格からして、それほど荒い乗られかたはしないだろうから、良質な中古車を探すのがベスト。ただし、修理代は高くつくかもしれないけど。

(追記:2000年8月17日に、再びカレスト座間に訪問しましたが、フェアレディZは試乗できなくなっていました・・・)。

 

Aグロリア 300アルティマ-Z CVT試乗

○概要
 セド・グロと言えば、どちらかと言えば少々品のないスタイリングでヤンキーの方々に支持されてきたようなクルマだったが、今回は一転、ポルシェにこっそりデザインを依頼し、スタイリッシュなボディでデビューした。高級車に乗りたいが、ベンツやクラウンはちょっと・・という、やや元気な壮年層をターゲットにした戦略としては、評価できるデザインと言える。ちなみに、今回は世界初!大排気量にも対応できるという、エクストロイドCVTを搭載しているグレードがある。私はグロリア自体には興味がないが、このCVTには非常に興味があったので、今回試乗車に選んだ。

○居住性
 私は高級車に興味がないので、あまり相対的な比較はできないが、グロリアのインテリアは、なかなか悪くないかんじだった。インパネや皮シートも高級感があり、かつ華美ではない印象。空間的にも、プロナードのように”広い!”と思わせるものはないが、必要充分な広さ。品のよいプライベート空間、といったかんじで、コックピットに座ること自体に所有する満足感を感じさせるだろう。

○動力性能
 最初にびっくりしたのが、すごくアシが柔らかく感じたこと(笑)。まあ、スポーティなクルマばっかり乗っていれば、そう感じるのもあたりまえか。慣れてくると、柔らかいが、ある程度インフォメーションをフィードバックしてくれるような感じで、不安はない。先代コロナのような、今タイヤがどんな状態なのかサッパリ分からず、不安を感じるようなことはなかった。この辺にも日産のDNAを感じさせる。
 エンジンは、これまた結構パワフルで、重い車体をスムーズに加速させる。加速時のエンジン音も、適度にスポーティで良い(ほとんど聞こえないけど)。
 さて、肝心のエクストロイドCVT。結論から言うと、あまりよく分からないものだった(笑)。変速ショックがなく、スムースなことがCVTのウリなわけだが、正直いって今の普通のATは、そんなにショックはない。また、ミッションのように積極的にシフトをアップダウンできるモードもついているが、思ったほどのダイレクト感はなかった。スポーツカーにこのミッションを搭載しても、私は楽しくないのではないかと思う。もっとも、実家にあるマーチのベルト式CVTよりは不自然さが解消されているので、悪いシステムではないのは確か。特別良くもないが。

○結論
 結論としては、意外に気に入った(笑)。トヨタ的な、これでもか!と言わんばかりの高級さや、いたれりつくせり具合も、それはそれで悪くはないが、セドグロの方がスマートなかんじだ。例えるなら、オーダースーツの、体にフィットしているようなスマートさ。それでいてドイツ車ほど簡素なさびしさを感じさせることもなく、どことなく日本的な安心感のある内装もポイント高い。ライバルはクラウンアスリートになると思うが、私ならコッチを選ぶだろう。

 

Bシルビア spec S 試乗

○概要
 先々代の5代目シルビアは、その流麗なスタイリングとリーズナブルなプライスで、それまでホンダ プレリュードの独壇場であったスペシャルティ・カーの市場を瞬く間に切り崩し、スペシャルティカーの王者へとのぼりつめた。また、FR、ライトウェイトという素性から走り屋からも絶大な支持を受け、現在でも中古車市場では高い人気を誇る。しかし、モデルチェンジに失敗、6代目はでかく、鈍重なボディになり人気が失墜。今回の7代目では、その反省を踏まえ、再度5ナンバーボディでデビュー。スタイルもシャープかつ斬新なデザインで蘇った。

○居住性
 今回はあまり時間がなかったので、居住性はあまりチェックできなかった。座面は少々低めだが、それほど視界が悪いわけではなく、居住空間もさほど狭くない。ただし、リアシートは相変わらずミニマム。インパネがどうもプラスチッキーで安っぽく感じてしまう。

○動力性能
 カレスト座間にはNAのスペックSしかないので、しかたなくNAを試乗。先々代のシルビアのNAは、はっきりいって箸にも棒にもかからない、激遅グルマだった。今回のシルビアNAは、さすがにそれよりは進化しており、まあ普通に走るレベル。しかし、お世辞にもスポーティとはいえず、まあ2Lの標準的なセダンと同等、といったところ。官能的なところは皆無で、ホンダVTECには比べるべくもない。足回りも、ややテールハッピー気味だが、唐突ではないので、まあ走りの入門には悪くないかもしれない。すぐ飽きそうだが。

○結論
 シルビアのスタイルにだけ惚れた人には、とりあえず安いのもありますよ、といったモデル。ドリフトしまくりたい人にはターボのSpecRが、NAで刺激を求める人にはオーテックバージョンをどうぞ、といったところか。まあ、そんな販売戦略も悪くはないかもしれないが、どうも全体的に安っぽいイメージがはなれない。デザインは悪くないのだが、どうもルックス、走りともに質感が伴わない。個人的には、シルビアのNAはオススメしがたい1台だ。

 

Cスカイライン 25T TURBO 試乗

○概要
 走りのセダンとしては日本一のブランド力を誇るクルマ、それがスカイラインだ。これまた平成元年にデビューした8代目が大ヒット。それまでの肥大化、重量化したボディから一転、コンパクトなボディに変身、鍛えられた足回りとエンジンで、久々のヒット作になった。しかし、これまたモデルチェンジで大失敗。再び大柄なボディとなった先代は、人気もガタオチ、行き詰まる日産のイメージそのものの一台だった。大体、それまで大柄すぎて人気が低迷していた所を、シェイプアップして人気が出たというのに、何故また肥大化しなければいけなかったのか?誰が考えても変な話だが、当時の日産は病んでいたとしかいいようがない。現行モデルは、ヒットした8代目の栄光再び、ということで再びシェイプアップ、ルックスまで8代目を彷彿させるスタイルで復活したが、既にあれから10年、デビューから古臭い、いかにも未練がましいスタイルになってしまった・・・

○居住性
 これも、あまり時間がなかったのでちゃんとチェックしていない。しかし、こちらもシルビア同様、なんとなく安っぽい。まあ、セダンなので4人乗れるのは間違いない。

○動力性能
 古臭い外見と反し、走りはしっかりしたものだった。まず、走りだしてスグに、ボディ剛性と足回りの剛性の高さが感じられる。シルビアと違い、なんとなく”しっかり”した感じが随所に感じられるのだ。左右に振ってみてもボディもアシもしっかり追従し、破綻のかげりも見えない。ハンドリングは、まさに切っただけリニアに曲がっていくかんじ。パワーも充分。しかし、パワーの出方はリニアすぎて、面白みに欠ける。8thスカイラインのドッカンターボの方が体感的には速くかんじられるし、おもしろかった。まあ、こっちの方が操りやすいし、速く走れるのは確かだが。280馬力とカタログではうたっているが、かなりあやしい。少なくとも、インプレッサの方がパワフルだ。体感的には250馬力くらいに感じる。

○結論
 当たり前だが、全てにおいて8thスカイラインを上回っているし、確実に速くなっている。しかし、その時代におけるインパクトという点では、現行スカイラインは8thの背中も足元にも及ばない。せっかくの新型エンジンも、現在の2Lターボクラスでは、際立った速さとは言えないし、個人的にはアルテッツァの6気筒の方がスムーズだと思う。外観も、スカイラインファン以外には子供っぽすぎて恥ずかしい。おそらく、今回のスカイラインの開発は、限られた素材と条件の中からスカイラインを復活させるとあって、かなり厳しいものだったのであろう。実情は分からないが、そう勘ぐりたくなる”ものたりなさ”を感じさせずにはいられない。素材や技術は決して悪くないのだから、なんとかガンバって欲しい、そう応援したくなるクルマだ。

 

Dルノー ルーテシアRXE 試乗

○概要
 ルノーを代表する小型車。実は、よく知らないのだが、評論家の評価が高いので、とりあえず試乗してみた。

○居住性
 これもチェックする時間がなかった。けど、小型車としては悪くない広さ。

○動力性能
 ハンドリングは素直で、リニアな走りが楽しめた。しかし、パワーがぜんぜんない・・・ちっとも楽しくないぞ、これ。

○結論
 残念ながら、私にはこのクルマの良さが、よく分からなかった。今調べたら、このクルマ200万円くらいするらしい・・・他にいい車はイッパイあると思うのだが。

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