マツダ試乗レポート

 

@RX-7typeRS

Aロードスター1.6SP

Bロードスター1.8RS

C新型デミオ1.3

 

◎神奈川マツダ試乗レポート

 ついに、2年間乗ったプジョーも本格的に故障が目立つようになってきた。もともと平成元年式の古い車で、既に10年以上経っているのでしかたがない、12月の車検までには新しい車を探さなきゃ、と思っていた矢先、深夜に車がストップ!どうもバッテリーがダメだったらしい。一応、修理に出したが、どうやらオルタネーターもあやしそう・・・これは、いつ動かなくなるか分からん!ということで、急遽次期車探しを始めることになった。本命は、ピュアスポーツと名高いRX-7!と言うわけで、とりあえず乗ってみることにした。

@RX-7typeRS 試乗

○概要
 世界で唯一ロータリーエンジンを搭載する、国産随一のスポーツカー。既に発表されてから9年が経っているが、繰り返し行われるマイナーチェンジにより完成度は高まり、現在でも国産トップレベルの速さを見せる。また、イタリアンスポーツカーを思わせる流麗なスタイリングもRX-7ファンが多い理由のひとつ。次期RX-エボルブはNAらしいので、事実上史上最強、最速のロータリースポーツになるだろう。

○居住性
 特徴的な、下部を大きくラウンドカットされたドアを開け、座席に着く。低い。さらにドアを閉めると、かなりタイトなコックピットであることが分かる。ただ、座面は低いが、フロントウインドーから見えるグラマラスなフロントフェンダーのおかげで、サイズの割には車両感覚は掴み易い。目の前にはタコメーターを中心に各種メーター類が並び、左手を置けば、自然にそこにはシフトレバーが。タイトだが、閉塞感はない。むしろ、”俺は今、スポーツカーに乗っているんだ”という満足感と、軽い高揚感が湧き上がる。インパネのデザインも、いかにもスポーツカーらしい、オリジナリティのあるデザイン。こういうところにも、マツダのスポーツカー作りのうまさを感じさせる。後部座席は、想像以上に狭い。座席というより、完全に小物置き場だ。普通のドライビングポジションを取ると、後部座席のレッグスペースはなくなるので、4人乗車しようと思ったら、前席もかなり座席を前に出す必要があるだろう。

○動力性能
 軽くレーシングすると、タコメーターの針は何の抵抗もなく上昇するが、回転落ちは鋭くはない。一速にいれて、アクセルオン。FCに比べ、格段に低速トルクが向上している!3000回転以下が続く街中のストップ&ゴーでも、普通のレシプロエンジンと全く同じで、なんの不満もない。私が以前所有していたRX-7(FC前期型)は、とにかく極低速トルクが不足しており、渋滞に巻き込まれた時の疲労度はかなりのものだった。とくに坂道での渋滞など、泣きたいほどトルク不足になやまされたが、FDではその懸念が払拭された。国道を軽く加速してみるが、あっという間に前の車に追いついてしまい、4000回転にも達しない。充分速いのだが、これではFDの真価は体感できない。渋滞を避けるため、路地を左折すると、30km以下のタイトコーナーでも、FDの重量バランスの良さを体感できる。FCの頃からあった、フロントミッドシップならではの車体の慣性を感じさせない、自分を中心にクルっと向きを変える感覚は健在だ。路地を抜けると、交差する国道に出る。空いている!ラッキー、とばかりに2速でフル加速!あっという間に吹けあがるエンジン!アイドリングから6000回転まで、まさに一瞬。これは、FCとは比較にならないほど強烈な加速性能だ。レーンチェンジも、コブシひとつハンドルを操作するだけで瞬時に向きをかえる。すべてがドライバーの意のままに、ダイレクトに呼応する!余計な遊びも、おせっかいなハイテクデバイスもない。ただ、ダイレクトに。まるで、脳や神経に直結されているがごとく、クルマは向きを変える。これこそ本物のスポーツカーだ!!もちろんブレーキも完璧で、100km以上に到達した車体をあっという間に減速させる。加速、減速、ハンドリング、その全てが楽しい!いつまでも運転していたい、そう思わせるクルマであった。
 ついついひいき目で評価してしまったが、欠点がないわけではない。確かにFDのハンドリングは機敏だが、さすがに車重が1200kgを超えるだけあって、”軽快感”はあるが、”軽快”ではない。愛車プジョー205(890kg)と比較すると、減速や車線変更では、どうしても重さを感じてしまう。また、エンジンレスポンスについても、プジョーが僅かなアシの親指の圧力にすら反応するのに対し、ロータリーユニットはダルで、微妙なアクセルコントロールを受け付けない。さらに、FDの真価を発揮させようと思っても公道ではまず無理。サーキットにでも持ち込まない限り、全開の走りを楽しむ、なんてことは不可能だろう。低速で走っている限り、RX-7はただの退屈な乗用車であり、日常的な使い方では、結構ストレスを感じてしまうかもしれない。

○結論
 スポーツには色々な定義がある。そして、日本にも色々なスポーツカーが存在し、それぞれに違ったカタチでスポーツを詠う。しかし、RX-7に乗ってみれば、ほとんどのクルマが色あせてしまい、自らうたうスポーツの意味すら色あせてしまうだろう。意のままに操る。人馬一体。やはり、RX-7こそが国産唯一のスポーツカーだと個人的には思う。ああ、買ってしまいそうだ・・・

 

◎新型ロードスター体感キャンペーン

 S2000を試乗してからというもの、NAのレスポンスの良さとオープンの魅力にすっかり取りつかれてしまい、ほぼRX-7に決定していた次期購入車選びは振り出しに戻ってしまった。確かにS2000の楽しさはピカイチだが、あの価格がネックだし、RX-7のスポーティさも捨てがたい・・・と日々苦悶していた時、マツダM’sクラブから一通の案内メールが届いた。いわく、新型ロードスターに3時間3000円で乗れるキャンペーンを実施中らしい。ふむ、これはいいかも!ロードスターの楽しさは知人のクルマを運転させてもらってよく知っているし、新型はついに160馬力までパワーアップしたらしいし!これは、もし気に入ればS2000より安く満足できるかも!という訳で、早速予約を入れる事にした。
 しかし、私は大きなポカをしてしまった・・・新型といえば、1.8L可変吸気システム搭載の160馬力しか頭になく、試乗しながらも”あんまりパワーないなあ・・・”と考えていたのだが・・・降りてから気がついた。なんと、レンタルで用意されたモデルは、1.6Lだったらしい!ええー!!新型っていえば、1.8Lじゃないの!??がーん。全然意味ないじゃん。かなりショックだ。また1.8Lをレンタルしなければ・・・そんな訳で、一応レポートです。
 追記:この話をマツダにメールしたところ、なんと2週間後に返事があり、HPやレンタル確認時に、1.8と1.6のどちらを選択するかというインフォメーションが追加されることに!!すいません、マツダさん、別にクレーマーじゃないんですけど・・・でも、すばやい対応に、すっかりマツダを見直しました。さすが!

Aロードスター1.6SP 試乗

○概要
 マツダの誇る、世界で最も売れているスポーツカー(ギネスブック入り)。ライトウェイトオープンスポーツの代表的存在。1.6Lモデルは、どちらかというとビギナー、もしくは通向け。

○居住性
 基本的に、先代ロードスターと変わらずタイトなコクピットではあるが、RX-7ほどではない。あいかわらず足元がせまく太ももがハンドルにあたりそうになるが、先代と比較すると気持ちヘッドクリアランスが広くなった感じがする。インパネ等は、あまり差はかんじられず、ロードスターらしさを継承している。最大の違いはリアウィンドウがビニールからガラスになったこと!今回はあいにくの雨天だったので、後方視界は雲泥の差だった。また、先代はオープンにする時、いちいちリアウィンドウ周りのジッパーをハズしてやる必要があったが、現行型はフロント2箇所のフックをはずすだけ!より気軽にオープンにできるようになった。やはりリアはガラスに限る。
 晴れ間をついて、少しだけオープンでも走ってみた。先代とまったく変わらず、適度に風を感じつつ、オープンドライブを堪能できる。MR-Sよりも開放感は断然強い。やはり、ウエストラインの低さが効いているのだろう。また、クローズドの時の静粛性が、先代よりも格段と進歩している。特に、アイドリング時の振動とエンジン音が低くおさえられている。もちろん、アクセルを踏み込めば、爽快な排気音を響かせてくれるが。

○動力性能
 基本的に、先代と変わりはなかった。アクセルレスポンスや回転の上昇、排気音等、間違いなく先代の血脈をかんじさせる。ただし、先代と比較すると、全体的なトルクの向上、高回転の伸びが感じられる。まあ、待ち乗りレベルでは不満のないパワーだ。ただ、S2000と比較するとエンジンの格の違いを感じずにはいられない。S2000が極めてスムースにドライバーの右足に追従するのに対し、ロードスターは少々雑だ。まあ、ライトウェイトオープンスポーツというロードスターのエッセンスを楽しむには必要充分かもしれないが。
 ハンドリングは、マツダっぽいクイックなハンドリングが活きている。但し、初代のようなやや神経質とも言える初期応答性やヒラヒラ感はなくなった。少々重くなった車重に加え、サスセッティングもやや落ち着いた方向に振ってあるのだろう。

○結論
 しかし、今回のポカは痛かった・・・1.6と1.8の馬力差は40馬力にもなる。期待していたパフォーマンスを発揮しなくて当然だ。まあ、偏見を抜きにして考えると、MR-Sと比較してもロードスターは今でも魅力的な候補だ。オープンの開放感も、走りの雰囲気もMR-Sに勝ると言える。まあ、動力性能ではかなわないと思うが。
 また、S2000とは比較にならなかった。まあ、価格からしてもカテゴリーが違うと言える。しかし、ライトウェイトスポーツを望むのなら、ロードスターはS2000にない、パワーを使い切る快感を感じることはできるだろう。
 次回こそ1.8Lモデルを試乗せねば・・・

 

Bロードスター1.8RS 試乗

○概要
 世界のライトウェイトオープンスポーツカー、マツダロードスターが待望のパワーアップ!それも、可変バルブで160馬力というから、期待も高まるというもの。世界中のスポーツカーファンの多くがこう夢見ていただろう・・・ロードスターにVTECエンジンが搭載されれば!と。それがついに現実化か!?
 まあ、VTECほどの切れ味は望めないだろうが、前回大ポカをやってしまった私は、今度こそ確認しまくって、1.8Lモデルのレンタルに成功したのであった。

○居住性
 当然、前述の1.6モデルと一緒。但し、今回は晴天に恵まれたので、高速道路以外は基本的にオープンでドライブした。やはり、オープンは楽しい!特にロードスターは、MR-Sに較べて開放感が強いので、オープンエアを堪能したい人には、まだまだロードスターは侮れないチョイスだ。ただ、今回のロードスターで最大の欠点が1つ。それは、乗り心地が悪いこと!いや、別にスポーツカーに快適な乗り心地を求めている訳ではないのだが、なんというか、不必要な乗り心地の悪さみたいなものを感じる。これは、すべて扁平率の低い16インチタイヤのせいである。1.6モデルに較べ、明らかに路面の突き上げが大きいし、ワダチにもハンドルを取られやすい。なんというか、不整地での挙動が不安定なのだ。今回は6時間レンタルなので横浜から逗子まで足を伸ばしてみたが、正直帰ってきた時にはグッタリしてしまった。これは私がトシだからではないハズだ!いや、確かに今日から30台突入なんだけど・・多分・・・

○動力性能
 さて、今回の注目ポイントは、何と行ってもエンジン!期待に胸を膨らませ、アクセルオンでドライブ開始。ほほう、さすが1.8Lパワフル・・・かな??うーん、ちょっとトルクは太いかもしれないけど、あまり変わってないなあ・・・というのが正直なところ。待ち乗り運転には充分なパワー感で、運転は楽。高速道路や坂道で全開にしてみると、そのままパワーは衰えることなくレッドゾーンへ。これまた過不足を感じさせない。思うに、ロードスターにはこれくらいのパワーがベストマッチだと思う。車中が軽いので、それなりのエンジンでも充分スポーティな走りを実現できるのだ。むしろ、使い切れるパワーとしては、S2000のような過剰ぎみなパワーより楽しいとも言える。ただし、スペックほどのパワフルさは感じられない。エンジンの吹けも、スムーズとは言えず、ちょっと古臭いラフなかんじ。ただし、古き良きオープンスポーツの雰囲気を求める人には、不満はないだろう。

○結論
 結論としては、ロードスター1.8Lは結構オススメの1台だ。MR-Sのようなトルク感はないが、それなりに高回転まで吹けあがるエンジンとライトウェイトらしいハンドリング、そして絶対的な車重の軽さが、運転する楽しさを教えてくれる。1.6Lの方がレスポンスがシャープで通好みだが、待ち乗りやドライブはトルクに余裕がある1.8Lの方が快適。また、1.8の方がドライバーの腕に関係なく、誰でも楽しいスポーティな走りが体感できるだろう。確かにS2000と比較してしまうと、モノが違うとしかいいようのない差をあらゆる面で感じてしまうのは事実。でも、気軽に、かつ自分が使いきれる範囲内でオープンスポーツを楽しみたいスポーツカー好きにとっては、ロードスターこそベストチョイスで、S2000はただのスペックオタクに感じてしまうかもしれない。それだけ、ロードスターには魅力があるということだ。

 

C新型デミオ1.3 試乗

○概要
 コンパクトワゴン(ミニバン?)としてデビュー以来、大ヒット!バブルの大敗でボロボロになったマツダの屋台骨をかなり回復させた、立役者。それがデミオだ。コンセプトは初代フェスティバに近く、居住性を最優先させたコンパクトカー、というもの。今回は、実家に帰省するためにレンタルしました。ちなみに私はミニバン系の車に詳しくないので、参考として実家のマーチ1.3と比較してみます。

○居住性
 さて、気になる居住性からチェック。さすがに広さがウリのコンパクトワゴン、車のサイズの割に車内の容積は大きめで、大人4人が苦もなく乗車可能。前席も後席も足元に必要充分なスペースがあり、BMWコンパクトより快適なくらいです。マーチより、ちょっと広いかんじ。特に後部座席の座面がちょっと高くなってるのがポイントで、おかげで後部座席に座っても前が見やすいため、閉塞感がありません。しかも、軽自動車より横幅が広いので、横方向の余裕もあり、快適。ラゲッジスペースはマーチよりデミオの方が余裕があり、ボストンバッグも3個くらいは余裕で積めそう。車高は最近のミニバンの中では低いほうですが、ヒップポイント自体が低いため、頭上の余裕は結構あり、コブシ2個は余裕。しかも、車高が高くないことで都内のタワーパーキングも入れるし、高速コーナーでの安定性にも貢献してます。総合すると、結構◎。マーチも悪くないけど、4人乗って出かける時は、デミオの方が楽そうです。

○動力性能
 今回は1.3をレンタル(1.5もあります)。結論から言うと、街乗りレベルでは充分です。それなりに走るので、パワー不足はあまり感じません。これは、車重が意外と軽いことも貢献しているのでしょう。高速道路も、意外とそれなりに走行でき、120kmくらいなら結構快適に走れます。この辺は、マーチより優れてるポイントです。ただ、エンジン自体は高回転まで回すと、途端に騒々しくなりますし、それほどパワーも出てません。最大のネックが、ATとの相性が良くないのか、”おいおい、そんなとこでキックダウンするか?”と思うほど、結構頻繁にキックダウンするので、なんだか落ち着きません。まあ、あくまでユックリ走行する分には問題ないでしょうけど、高速の合流や信号からの加速等、ここ一番って時には、イマイチ頼りない気がします。
 ハンドリングに関しては、なかなか良いと思います。軽い車重と低めの車高のおかげで、普通のセダンなみのハンドリングを確保しており、街乗りは楽々、高速のレーンチェンジも不安なく行えます。車体がコンパクトなので、街中の取りまわしも楽勝。ただ、高速コーナーはハンドルの手応えが希薄で、結構不安です。また、ブレーキもストロークは深い割にはカックンブレーキで、ちょっと使いづらいです。
 ちなみに車高が低めのせいか、高速での横風の影響は少なめでGoodでした。ただ、路面からのロードノイズは大きく、乗り心地もそれなり、といったかんじです。

○結論
 結論としては、車の物理的パッケージング(サイズ、中の広さ等)は大変優れてますが、エンジン等ハードウェア的には、価格なり、と言ったとこです。何しろ100万円以下で買えるので、費用対効果として考えれば、なかなか良いのではないでしょうか?マーチよりも広いし、ビッツより走りも楽しいです。で、価格も安い。そう考えれば、結構お買い得です。
 ただし、広いといっても当然最近のセダンほどは広くないし、内装はハッキリ言って安っぽいです。エンジンも回すとガサツです。あと、運転しやすさ、という点ではマーチの方が一歩上手ですので、運転初心者や高齢者には断然マーチがオススメです。
 まあ、デミオもデビューしてから結構年月が経ちますので、最近のライバルと比較すると粗が目立つのもしょうがないでしょう。むしろ、健闘してるほうです。そろそろ次期デミオも登場しそうなので、そちらに期待ですね。

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