トヨタMEGAWEB
試乗レポート

 

◎新型セリカSS−U
 最近、ちょっとMEGAWEBに行く機会があったので、RIDE ONEでも人気の高いセリカに試乗してみることにした。といっても、セリカ自体にはあまり興味はない(笑)。新型セリカのSS−Uには、MR−Sと同型のエンジンが搭載されており、こちらはVVT-iにより190馬力にパワーアップされている。つまり、もしMR-Sにこのエンジンが搭載されたらどうなるだろう?という興味があったので、今回試乗の対象とした。

○概要
 常にアグレッシブなデザインで世間を驚かせるセリカ。今回も、セリカの名に恥じることなく、相当斬新なデザインで登場した。また、動力性能的にも、1.8Lの新型VVT-iエンジンを搭載し、パワーと燃費、環境対策を両立している。基本的に、セリカはデザイン重視のスペシャルティカーであり、トヨタのスポーティイメージの代表であるから、まあその役目は果たしているといえる。残念ながら、このような車が大量に売れる時代ではないので販売面では苦戦しているが、個人的には、この思い切りのいいデザインは嫌いではない。先代セリカのデザインも好きだったが、今回のデザインも、かなりインパクトがある。

○居住性
 スペシャルティカーなので、当然絶対的な居住スペースやリアシートは広くない。ただし、前席は、必要充分な広さだと思う。座面もMR-Sのような低さはないが、見通しが良いとは言いがたい。インパネは、外観ほどの先進性はないが、近未来的で悪くない。トヨタは最近、非常に内装デザインに凝っている。まあ、センスの良し悪しはともかく、チャレンジ精神は評価したい。S2000みたいに、なんのひねりもない内装よりは、よっぽど評価できる。乗り心地も、特に硬さはないので、快適なドライブが楽しめるだろう。

○動力性能
 さて、今回最も注目されたエンジンだが、なかなかスムーズかつパワフルであった。アルテッツァのようにスポーティな演出がされている訳ではないが、新しいエンジンだけあって、よりスムーズな吹けあがりをみせる。それでいて、MR-S以上に高回転がパワフルで、VVT-iが効いているのは確かだ。ただし、残念ながらホンダのVTECのような絹のようなスムーズな吹けあがりや、バルブ切り替え後の劇的なパワーの盛り上がり、といった演出にはかけるし、絶対的なパワーも劣っているだろう。つまり、NAスポーツエンジンとしては及第点だが、最高点ではない、といったところ。
 ハンドリングについては、MR-Sと比較すると、FFとMRという駆動方式の差と重量差もあって、キビキビとはいかないが、必要充分なレベル。まあ、スポーティなFFの平均点、といったところ。逆にいえば、過度に敏感なところもないので、ドライブ中に神経質になることもないだろう。

○結論
 セリカは、トヨタの先進的・スペシャルティカーという役割を、充分はたしている。そういう意味では、買って損のない車だ。というか、コンセプトからして、デザインが気に入れば”買い”だろう。
 ただし、もしトヨタが今後F1参戦に象徴されるように、本当にスポーツイメージを構築したいのであれば、課題は山積みと言える。つまり、ホンダのS2000やインテR、マツダのRX-7、三菱のランエボやスバルのインプレッサといった、絶対的なスポーツカーとしてのブランドイメージという点では、残念ながら比肩できるレベルには達していない。エンジン特性やハンドリング等、すべて”悪くない”というレベルに達しているが、逆に”ここがいい”といった点が少ないことが、それを裏付けている。
 まあ、トヨタは最近、ようやくスポーツ路線に着手し始めたばかりであるし、技術力という点ではトップレベルの会社なので、今後は大いに期待したい。
 また、このエンジンがMR-Sに搭載されれば、けっこうエキサイティングなスポーツカーになるのは間違いないだろう。ただし、その際はバルブ切り替え時のパワー感やサウンド等、演出面の強化もぜひお願いしたいところである。

 

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