MyNetz
試乗レポート

 

◎MYネッツTOYOTA店レポート

今まで、何台かのトヨタMEGA−WEBにて試乗してきた。確かに、MEGAWEBは300円で全トヨタ社が試乗できる非常に便利な場所だが、他方、お台場まで行くのがめんどくさい、予約がいっぱい、試乗コースが短い、といった短所もある。かといって、近くのディーラーでの試乗は、セールスマンに気を使わねばならないし、まったく購入意思がないのに行くのも気が引ける。
そこで、”もっとMEGAWEBのように気楽に試乗して欲しい”といったトヨタの意向によりできたのが、有料試乗ディーラー”MYネッツ”である。
この店では、30分約500円で、誰でも気軽に試乗ができる。もちろん、セールスマンの同乗もなければ、コース制限もない。トヨタの新車を、自由に街中で試乗できるわけだ。さすがにMEGAWEBのように、TOYOTA車全てに乗れるわけではないが、MR−Sやアリスト等、人気車をそろえているので必要充分。実際、今回の試乗では、拍子抜けするくらいにNetsの人のセールストークはなし。ちょっと興味があるから運転してみたいけど、セールスマンがうっとうしい、と思っているひとにはぴったりかも。

@MR−S試乗

実は、既に一度MEGAWEBで試乗しているので、MR−Sに乗るのは今回2度目になる。一度目の試乗では、残念ながら、やや失望感を禁じえないものだったが、時間が経ってみると、やはりあの価格であのスペックのライトウェイトスポーツというのは気になる存在だ。MEGAWEBで受けた印象と、実際に街中で試乗した印象が、どう違うのかも興味深いところだ。

○概要
 トヨタの新型ミッドシップ・ライトウェイトオープンカー。MR-2の後継車だが、コンセプト的には別物で、ロードスターのライバルといえる。つまり、バブル期の重厚長大スポーツ路線から、一転して日常的なスポーティさに主眼を置いた、今後のトヨタのスポーツ路線の象徴ともいえる車。車重が1tを切っているところは高く評価したい。

○居住性
まず座ってみての第一印象だが、座席が低い!MEGAWEBやショールームでは感じなかったのは、やはり周りに比較対象物が少ないからだろう。特に、信号待ち等で目の前を歩行者が歩いたりすると、かなり着座位置の低さを感じる。
次に感じるのは、せまい、ということ。タイト、ではなく、せまい。まさにバスタブのようだ。フロントガラスの傾斜は意外に気にならないが、サイドシルとリア側が、自分の肩や頭を越すので、非常にせまく感じてしまう。まさに、バスタブにつかって空だけ見えるかんじ。走り出しても印象は変わらず、スポーティなはずの着座位置の低さがあだとなって、開放感をスポイルしている。まあ、風の巻き込みも少ないし、安全性も高そうだが、オープンカーで最も重要な開放感がイマイチでは、商品力としてかなり厳しいといえる。

○動力性能
結論から言うと、これが意外に速い。エンジンがトルクフルなのに加え、やはり車重の軽さが利いている。ただし、残念ながら”まわして楽しい”エンジンではないし、絶対的なパワーもたいしたことはない。また、サウンド面でも刺激が少ない。ボディ剛性も悪くないレベルだし、ブレーキのフィールも利きも悪くない。シフトフィールも、ややストロークが長いものの、結構コキコキと気持ち良くきまる。ただ、ハンドリングがいただけない。実は、MEGAWEBで試乗した時は、キビキビしてミッドシップらしいハンドリングだと思ったが、これが深く切り込んでいくと、妙な違和感を感じる。もしかして、ミッドシップということで、リバースしないようにパワステを調整しているのかもしれないが、どうも作られた身軽さ、みたいな演出が感じられ、リニアリティに欠けた。

○結論
残念ながら、今回の試乗も失望に終わった、というしかないだろう。前回の試乗での印象では、
MR−Sは”オープンを楽しむ車”、ロードスターは”オープンスポーツを楽しむ車”
というのが私の結論だったが、意外に街中での試乗は開放感に欠けるものだった。また、現在の愛車プジョー205と比較しても、アクセルに対するツキや足回りのしなやかさ等、205の方が優れている点が多かったところも見逃せない。
トヨタは最近、若者にターゲットを絞り、様様な車を出してきているが、ことスポーティさの演出については、まだまだ課題が残るようだ。しかし、素材はいいので、今後に期待したい。

 

AアルテッツアAS200(AT)

 久しぶりにマイネッツ港北に訪問。ちょっとアリストに興味があったので、一度試乗してみたかったのだが・・・なんと、8月中にアリストは試乗中止にしてしまったとのこと!えー、HPには試乗可になってたのに・・・HPのメンテナンスはしっかりして欲しい。まあ、愚痴を言っても始まらないし、せっかく来たので、とりあえずアルテッツアのASとビッツに試乗してみることにした。

○概要
 鳴り物入りで昨年デビューした、トヨタのFRスポーツセダン。久々のFRということで当初の売れ行きは好調だったが、意外に早く人気低迷に。。。RSが直列4気筒でスポーティな味付けをされているのに対し、ASは直列6気筒で、より上品な味付けになっており、ヨーロッパではBMWのライバルとして位置付けられている。

○居住性
 セダンとしての居住性は悪くなく、大人4人が充分楽に乗れる。コックピット周りにも、クロノ風メーターやメタリック調のエアコン噴出口等、随所に新しい試みが感じられ、評価できる。まあ、デザイン的に成功しているかどうかは別物で、質感的にも少々軽く感じられるが、スポーツセダンのひとつの提案としては良いのではないだろうか。

○動力性能
 キーを回し、エンジンを始動させると、まずその静かさにビックリ。確かに、最近のクルマはどのクルマも充分な静粛性が確保されているが、このクルマは、特に静か。エンジンの振動もほとんどなく、直6エンジンの上質さが伝わってくる。そのエンジンだが、これがまた気持ちいい!いや、私は個人的には直6の上品な吹けあがりより、直列4気筒のダイレクトな吹けあがりの方が好きな人間である。しかし、この6気筒は、なんというかトルクの出方や吹けあがりが気持ちいい。うまく表現できないが、上品かつエンジンの存在感を感じさせる、かなりポテンシャルの高いエンジンだと思う。残念ながら、AS200は車重がちょっと重いので、これに3L直6エンジンを積めば、かなりアルテッツアはいいクルマになると思う。大げさではなく、本当にBMWと互角に勝負できるクルマに成長するかもしれない。

○結論
 想像はいい意味で裏切られた。いや、確かに一部評論家ではアルテッツアは直6の方が評価が高かったのだが、直4好きの私としては、おそらく個人的には感性に合わないだろうと思っていた。しかし、このエンジンは、確かにいい。ただ、さすがに長時間乗っていると、もうすこしトルクが欲しくなってくる。もし、3Lモデルのエンジンがスポーティな味付けでデビューすれば、かなり欲しいクルマになるかもしれない。

 

Bビッツ 1.3ユーロスポーツ

○概要
 トヨタの大ヒットコンパクトカー。それまでマーチの独壇場であったコンパクトカークラス市場を一気に席巻し、あまつさえ月間販売台数で何十年も王座に君臨していたカローラすら凌駕した。低価格、コンパクトなボディーながら広い居住性、プリウスなみの低燃費等々、ナンバーワンになる理由は数々あるが、特筆すべき点は、なんといってもその日本車ばなれしたデザインにある。一目でVitzと分かるその独創的なデザインは、従来の日本車的、保守的で野暮ったいデザインとは一線をかくし、欧州車なみのセンスを感じさせる。Vitzだけではなく、同じシャシーを利用したプラッツ、ファンカーゴ、bB、WillVIもそれぞれヒットし、まさにトヨタに敵なし、といった状況。

○居住性
 まず乗車して驚くのが、そのヒップポイントの高さ。座面が想像以上に高いのだ。実は、乗車する前は、Vitzの斬新なデザインを構成する要素のひとつである、ワイドラインの高さが視界不良に結びつくのでは、と懸念していたが、なるほどこのアイポイントの高さなら不満のない視界の広さが確保できる。インパネも、さすがに高級感はないが、エクステリア同様斬新なデザインで新鮮、もちろん操作性に不満はない。後部座席にも座ってみたが、見た目以上に空間が広く、大人4人でも過不足なく乗車可能。ただ、さすがに後部座席では、そのウエストラインの高さが災いして開放感には欠けるが、頭上空間が広いので、それほど閉塞感は感じないだろう。このサイズでこの空間、見事というしかないパッケージングである。

○動力性能
 結論から言うと、非常に残念だ。私が試乗したのは排気量の大きい1.3Lだったので、さすがにパワー的には街乗りではそれなりのレベルだった。しかし、そのフィーリングは最悪。電気モーターのように、アクセルオンかオフ、この2つしかない。パーシャルスロットというものがないのである。つまり、走り味とか、ドライビングプレジャーなんてものは皆無で、ただ走るだけの箱、といった感じ。ちなみに静粛性については、さすがにこのクラスなり、といったところ。あと、エアコンを欠けると結構パワー不足を感じさせる。
 ボディはさすがに新型だけあって、このクラスにしては剛性感がある。足回りも、安定指向だが、それなりだ。逆に、このしっかりしたボディ周りが、エンジンの味気なさをさらに増幅させているのかもしれない。かえすがえすも残念だ。

○結論
 MR-Sの時と同様、非常に残念な思いでいっぱいだ。マーチと比較すれば、安全性、デザイン、居住性、燃費、ほぼすべての面でVitzは勝っている。しかし、私なら”走る楽しさ”というただ一点のため、マーチを選ぶだろう。トヨタはこのクルマを、アルテッツァと並んで欧州戦略の一つとしているが、このエンジンは致命的だろう。なにしろ欧州はコンパクトカー王国で、しかも誰でもMTで走りを楽しむ傾向にある。このエンジンでは、市場を開拓するのは困難なのではないだろうか。確かに燃費や低公害性は今後も重要なファクターだが、車としての楽しさを放棄する理由にはならないだろう。まあ、逆にいえば、クルマに走る楽しさを求めない人には、ベストチョイスといっていいクルマと言える。情報誌によれば、この秋にもトヨタはVitzに1.5Lのスポーティバージョンを出すそうで、こちらは期待したい。しかし、最初1Lだったスポーツ仕様が、1.3Lになり、また今度は1.5Lになるなんて、少々消費者を馬鹿にしてないか?それなら最初から出せばいいのに・・・

 

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