ランボルでスーパーカーをレンタル
Part1:ランボルへイク。





F40に乗りたい!
 日本におけるスーパーカー好きにとっての聖地とも言える店、それが焼肉屋 ランボル。噂によると、ステーキハウスでありながら店内にはフェラーリやランボルギーニがゴロゴロしており、しかもランチを食した客には、1時間単位でそれらスーパーカーをレンタルしてくれると言う!!!すばらしい!すばらしすぎる!アメリカでもエキゾチックカーのレンタルは最低6時間からなのに、同店はテスタロッサなら1時間1万円からという激安。し、しかも市販車最強にして最も死に近いといわれるフェラーリ F40までもがレンタルされている。の、のりたいF40!たとえクラッチがバスケットボールを踏み潰すくらい重いと言われていようが、会社の福利厚生用に買ったF40がいきなり高速道路で火を噴き全焼した、との伝説が残っていようが、乗りたい!エンツォ在命中の最高峰フェラーリにして、17年落ちの今も尚、世界最速グループに位置する、超どっかんターボ、F40!クルマ好きとして、人生の記念に1度でいいから乗ってみたい。そんな野望を秘め、虎視眈々と浜松進出を狙っていたところ、偶然 浜松出張in金曜日!これは土曜日に乗りに行くしかないぜ!ということで、初のランボル進出計画がスタートした。

F40はダメ・・・
 意気揚揚と早速メールでF40の総レンタル代や空き状況を質問。しかし、中々返答はない。2,3日後、ようやくランボルから返事が。どうも連絡手段は電話がメインで、あまりメールは活用されていないらしい。緊張しつつもメールを開く・・・・・がっくし。流石にF40は一見さんはお断りで、取りあえず別の車で会員になってからだそう。そりゃ、そうだよね。バブル期には1億円、今でも3000万円はくだらないスーパーカーを、どこの馬の骨とも分からん奴に乗り逃げされたら洒落にならんからな。。。ラスベガスでフェラーリ盗難を体感した身としては、非常に現実的なお言葉に聞こえる。むーん。じゃあ、立ち直りも早く次はテスタロッサだ!男なら、一度は12気筒フェラーリだろ。中でもテスタロッサのあのえげつないサイドフィンと2mに届かんとする全幅は、ブランシングホース一族の頂上にふさわしい迫力。それが1万円で乗れるなら激安。早速、今度は電話にてコンタクト開始。

「こんにちはー、テスタロッサ借りたいんですけど」
 「あー、売れちゃいました」
が、がーーん。
「え、えっとじゃあちょっと高いけどTRでもいいです」
 「すいません、TRも売れちゃったんですよ。」
な、なんと。。。あのHP、結構古いみたいだ。メンテして欲しい。
「今、何が借りれます?」
 「スポーツカーなら、348スパイダー、360モデナ、マラネロ、ムルシエラーゴ、カウンタックですね。」
ううーーーむ、なんと微妙な。348はラスベガスで乗ったことあるし、マラネロは迫力不足。モデナ、カウンタックは3万円と割高。ムルシはもっと高いし。。。お店の方は親切に348とマラネロを進めてくれるが、もう一つ食指が動かない。でもまあ、せっかくの機会なので、お店には足を運ぶということで、電話を切った。

マラネロか!?
 さて困った。浜松で無事仕事を終えたあと、私は布団の中で悩んだ。ラインアップの中では、360モデナかカウンタックに乗ってみたい。現役V8の跳ね馬は、きっと348とは異なる超高速マシンだろうし、恐らく自分のクルマ試乗記の中でも最速の1台になるだろう。一方、ランボルギーニ カウンタックはもはや説明不要。スーパーカー世代の憧れ。この世のモノとは思えない平べったいスタイル。しかーし、両方とも1時間3万円は高い!!F40なら5万円でも安い(←この価値観もどうかと思うが)が、うーん。やはり、落としどころはマラネロかなぁ。スタイルはスープラみたいで不人気だが、5L12気筒でかなりストレートは速いって言うし、2万円なら出せるかな。まぁ、最終決断は明日、実車を見てからでもいいか。混んでないといいな。みんな貸し出し中で、348しか残ってなかったらどうしよう?等々、久々に遠足前の小学生並のワクワクを胸に浜松の夜は過ぎていった。

来たぜランボル!はるばると!
 さて当日は、前日までの肌寒い曇り空を払拭するかのような見事なピーカン晴れ。絶好の試乗日和だ。心も躍る。タクシーが中々捕まらないのでバスで移動。これから1600万円以上は確実にするクルマに乗るのに、移動は200円のバス。ステキなコントラストだ。バスを降り、歩くこと約3分。観光地にある地味な美術館のような案内板に導かれ、ついに辿り着いた・・・ここがランボル、ランボルか!!!

 天竺に到達した三蔵法師のようなテンションの俺の前に立ちはだかるランボル。う、うーーん。正直、ちょっと想像していたのとは違うなあ。もうちょっと、近代美術館的な、コンクリート打ちっぱなし、ガラス貼りをイメージしていたのだが。。。16号沿いの流行ってないドライブインみたいだな。。。とテンションが微ダウンするも、駐車場の左側に鎮座するヨットとハマーが、この店がタダモノではないことを象徴する。


ちょっと時間が早いせいか、駐車場には1台しかクルマが止まっていない。しかも外からでは中の様子がよく見えず、中々足を踏み入れがたい雰囲気だ。この店の事を全くを知らない人だったら、かなり躊躇するだろう。が、しかし コチトラ新幹線を乗り継いできたツワモノ、こんなところで何時までも小春日和で日向ぼっこしてる訳にも行かない。意を決して中に踏み入れると・・・


 そこはまさにクルマ好きの聖地だった。左サイドには、ランボルギーニ一族が特徴的なガルウィングを全開にして羽を休め、右サイドにはフェラーリ達が静かに佇んでいる。素晴らしい。こんな素晴らしい店、他にはない。なかでも印象的なのはランボルギーニ。カウンタックのSFのようなスタイリング。とても20年以上前のデザインとは思えないほど前衛的だ。最新の猛牛、ムルシエラーゴも異様な黒光りを放ち、見るものを威嚇しているようだ。そして圧巻はディアブロGT-R。今まで見た、どのマシンよりもレーシングマシンに近い。飾り気のないコックピット周り。GTマシンそのまんまのフューエルリッド。カーボン剥き出しのパーツ達。・・・っていうか、これホントは公道走れないだろ、間違いなく。何故か誰もいない店内を心おきなくウロウロしていると、店長らしき方がお目見えになったのでクルマ談義開始。この店長(?)らしき年配の方がまた昔のメカニック風の方で、じつに渋い。ついつい30分あまり立ち話をしてしまった。その内容はここでは割愛するが、最も印象に残った台詞を2コト紹介したい。

「たまにいるんだよ。なんでこんなところで、レンタルで使いまわされたクルマを買うんだって。東京のお店には、もっとキレイなクルマがいっぱいあるのにってさ。
 でも、ウチのクルマは生きてるんだよ。いつでもレンタルに出せるってことは、いつでも動けるようにしとくってことだ。今までに何台ものクルマを扱って、メンテして、走らせてきた。だから、ウチのクルマは何時でも動けるコンディションなんだ。ショールームに鎮座したままのクルマとどっちがいい?」

「みんなさ、夢なんだよ。フェラーリとか、ランボルギーニとか買うのが。それを目標にして、一生懸命がんばって、なんとか金貯めて、買ってく。でも、スーパーカーをそれらしく走らせるのは維持費がかかるんだ。クラッチ交換で数百万ってこともある。ホント、キツイと思うよ。だからウチはレンタルやってるんだ。たまにさ、かっ飛ばしたい時にウチに来て貰って、1日堪能して、そんで満足して帰ってもらう。メンテや維持に頭を悩ませることはない。そういうのはウチが全部やっとく。ウチは1年間のレンタル代と同額のメンテナンス代がかかってる。でも、それでもいいんじゃねえかな。

・・・神様だ。世界中探したって、1時間単位でスーパーカーレンタルしてる店なんてない。348やモデナはともかく、カウンタックやディアブロGTRなんて、絶対にない。どう考えても維持費を考えればビジネスにならないから。
 そんな親父の熱い言葉を胸一杯に、松坂牛を口いっぱい頬張りながら、心はどのクルマを選ぶかで一杯だった。

決めたぜ!!!
 当日の客は4組。ボヤボヤしてたら、ようやく心を決めた1台が先約ありーなんて事態も考えられる。しかし、最後の松坂牛(うまかった!)に手をつける前に、俺の心は決まっていた。ランボルギーニ カウンタック!!!こいつしかない!世界中捜しても、カウンタックをレンタルできる所なんてない。しかも、下手をすると、この店でも次に来たときには動いていないかもしれない(なんせ、15年落ちのイタリアンスーパーカーだ)。うぉぉ、カウンタック!!あんな平べったいクルマとも思えぬような機械を転がせるのか!??本気か?本当にそれでいいのか?エンジン、フレームと設計していって、最後の隙間をコックピットにしたという超人間工学無視のマシンに?しかし、あのルックスを見た瞬間にココロは決まっていたと言っても過言ではない。乗るぜ、カウンタック!あのカウンタックに!!

 結果的に一番最後に食事を終えた俺は、意を決してカウンターに行った。

「カウンタック乗りたいんですけど!!!」
 「あ、マラネロとカウンタックは あっちの人が今予約したところです。」

がーん。ここまで来てなんという事態。心はすっかりカウンタックなだけにショックはでかい。ああ、何故もっと早く予約しておかなかったのか。。。残るはモデナか?しかしモデナに3万円というのは個人的に高い。。。

「あ、でも今日はみんなで一緒にツーリングしたいと思いますので、よかったら帰り道にカウンタック運転しますか?同じ価格のクルマだったら、それでいいですよ」

何と!!地獄の底から一転、天国へ!ということは、3万円でカウンタックだけではなくモデナにも乗れるというコトではないか!同じ価格で2台!!こ、これなら安い!安いぜ!!

ということでレンタル決定。いよいよ次回は、フェラーリ360モデナ、そして次々回はランボルギーニ カウンタックの試乗記をお届けしたい!


Part2 フェラーリ360モデナ編

 

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